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土地活用のオーナーが知っておくべき行政代執行の基本について

土地活用のオーナーが知っておくべき行政代執行の基本について

行政代執行とは

まず「行政代執行」について説明すると、国や行政機関が行政的な義務を果たさない人に代わって、行政機関が 撤去・排除などを行うこととなります。
わかりやすい事例としては、2015年に執行された九州のみかん農家に対する福岡県の行政代執行の例があります。
これは、当時、東九州自動車道建設に反対し、北九州市一宮崎市間の東九州自動車道はほぼ開通していたにもかかわらず、みかん農家の所有地で寸断される形になっていた状況で、16年間にわたって土地の明け渡しを拒んできたみかん農家に対して執行されたもので、約1.5haの”私有地“が高速道路用地として強制収用されたという内容です。
私有地が、公権力によって強制的に収用されたわけですから、理不尽に感じる土地オーナー様も多いと思います。
ですが、東九州自動車道が全線開通となれば、高速道路利用者の利便性は飛躍的に向上し、地域の経済や福祉にも大きな利益になる面から考えて、多数の利益 (公益)のために、個人の権利(土地の明け渡し拒否)を制限したのが、行政代執行というわけです。
まとめると、公益性が極めて高い案件については、地主といえども公権力に抗えない仕組みが用意されており、土地オーナー様としては行政代執行の最低限の基礎知識は身につけておく必要があると考えられます。

行政代執行の要件

行政代執行は個人の権利をいわば強制的に制限するということになりますので、行政代執行を行うには以下のような「要件」を満たすことが求められています。

行政代執行の要件

1. 命じた行為が「代替的作為義務」であること
2. 義務の不履行があること
3. 他の手段(事前に行政指導など)によって履行を確保するのが困難であること
4. その不履行を放置することが著しく公益に反すること

この4要件を満たす場合にのみ、抑制的に執行されるのが原則となっています。
あくまでも公益にとって重大な悪影響をもたらしているにも関わらず、本来の義務者が義務を履行しないことによって、他に方法がない場合に限って代執行が認められるということです。
しかも、それが「代替的作為義務」である場合に限って命令できるというのが基本原則となっており、あくまで最終手段となります。

代替的作為義務とは

作為義務というのは「何かをしなければならない義務」で、立ち退きや建物の撤去などがその具体例となります。
反対に不作為義務は「何かをしてはならない義務」で、業務停止などが代表例となります。
「代替的不作為義務」とは、本来の義務者に代わって、しなければならない義務を果たすことを指しており、実際には次のように運用されています。

行政代執行できない事例

  • 公営住宅の明け渡し
  • 明け渡し自体は作為義務ながら、公営住宅を退去した場合、他の住宅に入居するのが困難である恐れがあるため「代替性がない」と判断される
  • 飲食店に対する営業停止
  • 営業停止は「不作為義務」にあたるので、代執行は難しい

行政代執行が可能な事例

  • 事業者に対する施設の改善義務
  • 営業を継続する上での改善なので作為義務であり、代替性もある
  • 違法建築物の除去義務
  • 違法建築物の撤去は作為義務であり、代替性もある

上記のように実際には法律に従い厳格な判断が行われており、公益のためという名目で個人の権利をむやみに侵害しないように配慮がなされているのが現状となっています。

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