農業関係者は必見!土地改良区の基礎知識を徹底解説! 仕事内容から費用や売却の仕方まで
「農業に従事すると土地改良区に加入しなければいけないの?」
「土地改良区はどんな仕事をするの?」
農業をはじめたばかりの人は、土地改良区について聞いたことはあるけれど、具体的によくわからないという人も多いでしょう。
土地改良区は、農業従事者が必ず加入する必要がある団体です。
この項目では、
・土地改良区とは
・土地改良区の賦課金の滞納処分とは
・土地改良区の仕事内容
・地域で土地改良区の維持に必要な費用の内容
・土地改良区を売るために行うこと
について紹介していきます。
ぜひ最後まで読んで、土地改良区についての理解にお役立てください。
土地改良区とは
土地改良区は、公共投資の土地改良事業の実施を目的に15人以上の地域の農業関係者で構成された団体です。農業者が申請し、自治体の認可によって設立されます。1
土地改良事業は、地区内の農業関係者2/3の同意によって実施されます。土地改良事業とは、農業用排水施設の新設や変更、整備工事などの事業です。こうした事業を行うことによって維持管理を行います。
土地改良区は、土地改良事業を行う際の法人税や事業税、事業所税、登録免許税、印紙税、固定資産税などが非課税といった優遇措置があるのが特徴です。
現在は、全国で約430万人の組合員の組合員によって約7000団体が組織されています。組合員の構成は、自作地が6割強、貸借地が4割弱になります。
徐々に減少傾向にあるものの、農林水産省による合理化政策によって、大規模な土地改良区が増えてきています。
組合員の高齢化や農地集積の進展によって、今後は土地持ちの非農家が増加していくと想定されます。土地改良施設の維持管理や更新を適切に行うためには、耕作者の意見がしっかり反映される運営体制が必要です。
所有者から耕作者へ組合員の資格を交替した場合は、組合員になった耕作者が費用を負担することになります。ですから、その場合は段階的に資格交替を進める必要があります。
土地改良区の賦課金の滞納処分とは
土地改良区の賦課金には時効があります。5年を経過すると消滅するのです。時効を成立させないためには、「時効の中断」をする必要があります。
時効の中断をすることでリセットされ、再度5年をカウントすることができます。時効の中断を行うために、まずは納付催告書を発行します。
その後、土地改良区の組合員が承認を行います。督促は1回のみ有効ですが、承認は回数制限がありません。
最後に、土地改良区の理事は支払いが滞っている組合員の財産を差し押さえることができます。差し押さえの効力が発生した際に、時効の中断ができます。
時効が成立すると滞納処分が行えなくなってしまうので、注意が必要です。
土地改良区の仕事内容
農業用排水施設の管理を行うのが土地改良区です。例えば、田んぼの整備や農業用の道路・水路の維持などを行います。
他にも、水路の流れを良くするために泥や雑草を取り除いたり、各田んぼに平等な用水を届けるために水量を調整したりします。
さらに、防災のための排水管理や用水管理など、農業だけでなく地域のための管理活動も行っているのが土地改良区の仕事といえます。
地域で土地改良区の維持に必要な費用の内容
土地改良区は、農業に従事している人は必ず加入する必要がある団体です。加入すると維持管理賦課金が徴収され、これが農業運営のための施設を維持する費用として使われます。
さらに、工事を行う際には経常管理賦課金を支払います。徴収される金額は、農林水産省による土地改良区定款や工事の内容、農家の数によって決まります。
工事が必要な範囲が1軒のみであれば、その農家1軒が負担し、数軒であれば全組合員が負担することになります。
各種税金は、すでに徴収されている維持管理賦課金から支払われます。農地は宅地より面積がかなり広いので、支払い金額は高額です。
このように、土地改良区の運営を行うためには、加入している組合員の負担によって成り立っているのです。
土地改良区を売るために行うこと
土地改良区内にある土地の維持が難しくなった場合、売り出すこともできます。その場合、まずは農業委員会に売却するか転用するかを報告する必要があります。
農地として5年以上利用していた実績があれば、800万円までが控除対象になります。その場合、800万円を差し引いた所得税、地方税を支払うことも理解しておいてください。ただし、控除を受けるためには農業委員会の仲裁が必要です。
土地改良区を農業以外に転用する際には、不動産評価額の1.4%を固定資産税として支払います。不動産評価額は転用する際に整地した状態で算出するので、大きな負担になります。
固定資産税に加え、土地造成工事や書類作成依頼料も支払います。土地改良区の中の土地を売却するのは、やや面倒な手間がかかることがわかります。
土地改良区内の土地を販売したいと考えている際は、一度専門家に相談してみるのがおすすめです。土地の活用の仕方で迷っているなら、ぜひ当店にご相談ください。土地の状況に合った適切な活用の方法をご提案します。
土地活用に関わる法律関係