知っておきたい土地の減価償却を徹底解説! 計算方法から土地活用の減価償却まで
「土地は景気で価格が左右されるのに減価償却できないのはなぜ?」
「駐車場は減価償却を適用できるの?」
土地所有者の中には、複雑な税制の中でも減価償却についてのさまざまな疑問を抱えている人が多いものです。
結論からいうと、土地については減価償却が適用されません。ですから、土地活用をはじめることをおすすめします。
この記事では、
・減価償却とは
・土地の減価償却ができない理由
・建物の減価償却の計算方法
・減価償却の仕訳とは
・減価償却と耐用年数の関係
・少額減価償却資産の特例とは
・国際財務報告基準(IFRS)とは
・土地活用で減価償却
について解説していきます。ぜひ最後まで読んで、減価償却に関する理解にお役立てください。
減価償却とは
減価償却とは、時間の経過によって資産の価値が下がっていくことをいいます。価値が下がって利益が減るため、支払う税金が少なくなるからです。
長く使用する固定資産について、使用する期間で分割して計上するのが減価償却費です。減価償却は、すべての資産が対象ではありません。対象になるのは、時間とともに価値が下がる資産と業務で使う資産の2パターンです。
有形固定資産としては、工場や建物、設備、備品があります。無形固定資産には商標権や特許権、生き物、樹木などが該当します。一方、対象にならないのは美術品や骨とう品、借用権といったものです。
土地も対象にならないことを覚えておきましょう。
土地の減価償却ができない理由
土地は減価償却の対象にならないことを、前の項目で紹介しました。というのも、景気によって価格が変動するものの、時間の経過で価格が変わるわけではないからです。
建物は使用する過程で損傷し、老朽化も進みますが、土地は時間が経ったからといって劣化することがなく価値がなくなることはありません。土地を購入する際の購入代金は、費用として計上できないのです。
景気の変動によって値下がりした損失が減価償却にあたらないのは、土地を売却する場合に限り損失が発生するからです。土地を減価償却できないことは、金融上のルールとして定められていることなので、理解しておきましょう。
建物の減価償却の計算方法
建物は、固定資産を事業に使った時点からスタートします。ですから、固定資産を購入しても稼働していなければ計上できません。
計算方法としては、2種類あります。定額法と定率法です。定額法は、固定した金額を毎年計上する計算の仕方です。取得した金額に償却率をかけて計算します。償却率とは、資産を取得した時期によって率が変わり、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」を使用します。
メリットは、計算が分かりやすくて間違えることがないことです。初年度の減価償却費が少なくなることも利点の1つです。初期の段階での利益が少ない場合は定額法がおすすめです。
また、定率法は初年度に計上する額を多めにして、2年目からは一定の償却率をかける計算方法です。節税対策として購入された固定資産の場合、定率法を選ぶことが多い傾向があります。
減価償却の仕訳とは
業務に関わる全ての取引をお金の動きごとに記録する作業を、減価償却の仕訳といいます。仕訳の仕方には、直接法と間接法の2種類があります。直接法は減価償却費を直接差し引く方法で、固定資産の価値が分かりやすいのが特徴です。
借方には減価償却費を記入し、貸方には固定資産を記入します。ただし、取得原価は帳簿価格とここまでに計上した減価償却費を足して考えることを忘れないようにしてください。
間接法は、貸方に減価償却累計額を、貸方には1年間の合計額を記入します。固定資産の取得価額から減価償却累計額を差し引いて計算しましょう。
減価償却の際にこの仕訳を行うことで、事業の中で挙げた業績を把握することができるのです。
減価償却と耐用年数の関係
減価償却の計算の際には、耐用年数についても理解をしておきましょう。
耐用年数には、以下のような3種類があります。
・物理的耐用年数
・法定耐用年数
・経済的残存耐用年数
物理的耐用年数とは、建物が劣化して使うことができなくなるまでの年数のことです。法定耐用年数は、国が設定したそれぞれの不動産価値のことです。種類や構造、用途によって一律で定められています。経済的残存耐用年数は、どれくらい継続して使えるかを考慮した年数です。
補修や修繕費用などによって算定されることもあります。減価償却に関係するのは、法定耐用年数です。
減価償却資産の種類ごとに法定耐用年数が定められているので、該当する資産の耐用年数を調べておきましょう。
少額減価償却資産の特例とは
減価償却には原則がありますが、特別な場合に適用される特例もあります。青色申告をしている中小企業が対象となる少額減価償却資産です。
中小企業の定義としては、資本金1億円以下、従業員が500人以下などいくつかの条件があります。従業員数の規定は、令和2年の改正で1,000人以上から引き下げられました。この特例措置は、2年ごとに適用期限の延長が検討されています。適用期間は、令和2年に延長され令和4年3月31日までは適用になります。
取得価額が30万円未満の減価償却資産は、全額を経費にすることが可能です。また、減価償却資産の合計は300万円までが対象です。
この他にも、10万円以上20万円未満の場合は一括集客が可能で全額経費にすることができる措置や、10万円未満の場合は消耗品などとして全額経費になる措置もあります。これも、中小企業についての措置になります。
知識としてこうした措置があることも理解しておきましょう。
国際財務報告基準(IFRS)とは
IFRSでは、減価償却の方法について、「企業が、資産の将来的な利益を消費すると思われるケースに合わせること」と定めています。
IFRSとは、International Financial Reporting Standardsの略称で、国際的な会計基準のことです。ロンドンの民間団体が設定している基準です。2010年から日本でも適用可能になりました。
IFRSの特徴としては、数値や細かい規定が示されておらず自由度が高いことが挙げられます。貸借対照表(BS)によって将来的なお金の流れを考えた現在の価値を重視する考え方を採用しているのも、特徴の1つです。議論を英語で行って言語による違いを防ぐための工夫が施されているのも特徴です。
この基準を導入しているのは、主に上場会社の一部です。メリットは、海外の子会社の経理管理を行い易く、正確に把握できるようになること、海外投資家への説明がし易くやることなどがあります。
IFRSを採用している企業の多くは、定額法を採用して減価償却の方法を一本化する傾向にあります。
土地活用で減価償却
土地活用の方法として、初期投資が少なくはじめられる駐車場経営がありますが、減価償却費を計上することで節税につながります。
駐車場経営では、固定資産税額を減らすことはできませんが、設備の評価額を下げることで税金の負担を軽減することはできるのです。設備の評価額が150万円以下の場合は免税されるというルールがあるからです。
駐車場経営のために購入した設備を分けて償却する方法もあります。計算の仕方は、購入費用を耐用年数で割った金額を経費として計上します。設備購入の合計金額が20万円未満の場合は3年で計上できるので、節税に有効です。
自動販売機やコインロッカーの減価償却は、取得価額が10万円以上20万円以下であれば、一括償却資産に、30万円未満なら少額減価償却資産にあたります。
法定耐用年数については、自動販売機が5年、コインロッカーの耐用年数は10年です。土地活用の際は、減価償却についても確認をして納税額が少なくなるよう検討することが大切です。
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