news-header

「特定生産緑地制度」に関して

「特定生産緑地制度」に関して

前回「都市緑地法等の一部を改正する法律案」に関して解説しました。
今回はその法改正の中で、土地活用に関わる「特定生産緑地制度」について詳しく解説していきます。
前回の記事をお読みでない方は、こちらからご確認ください。

土地活用に関わる「都市緑地法等の一部を改正する法律案」について
前回は生産緑地に関わる「2022年問題」について解説しました。 2022年問題を見据えて平成29年2月10日に閣議決定された「都市緑地法等の一部を改正する法律案」を詳しく解説していきます。 この法案がどのような法案なのか、そしてどのよう...

都市緑地法の改正のおさらい

「特定生産緑地制度」が関わる「都市緑地法等の一部を改正する法律案」は平成29年2月10日に閣議決定されました。
国土交通省は今回の改正案の提出の背景を以下のように説明しています。

”「公園、緑地等のオープンスペースは、良好な景観や環境、にぎわいの創出等、潤いのある豊かな都市をつくる上で欠かせないものです。また、災害時の避難地としての役割も担っています。都市内の農地も、近年、住民が身近に自然に親しめる空間として評価が高まっています。
このように、様々な役割を担っている都市の緑空間を、民間の知恵や活力をできる限り活かしながら保全・活用していくため、関係法律を一括して改正し、必要な施策を総合的に講じます。」”国土交通省引用

簡単に説明すると国土交通省は、「農地を含め都市の緑空間について民間を活用しながら保全していきたい」ということになります。
そして、都市の農地について災害時の避難地としての防災面、緑空間での自然とのふれあいや近隣でのコミュニティづくりなど多くの役割に期待をしています。

特定生産緑地制度とは?

所有している農地が生産緑地に指定されてから30年が経過すると、所有者は市町村に対して買取りの申出をすることができることになっています。
所有者が買取りの申出をすると、

  • 市町村が当該土地を買い取る
  • 農業者に当該土地をあっせん
  • それができない場合は土地に対する行為制限が解除

というような判断になります。
ですが、実際には各地方自治体が土地を買い取ることはほとんどないと予想されます。
上記から生産緑地指定から30年が経過するとその農地の多くが解除され、宅地に転用されることが想定できます。
そして、2022年には現行の生産緑地法が施行されてから30年を迎え、多くの生産緑地が解除されることで、多くの農地が一気に転用され、農地の面積が急激に減少するとともに、宅地の供給が過剰になってしまう可能性があり、「2022年問題」と呼ばれ、不動産業界では懸念されています。
そういった背景から、この法改正案では生産緑地指定から30年経過が近づいた農地について、良好な都市環境のために有効である農地に対して保全するを目的として、市町村が特定生産緑地として指定し、買取りの申出をすることができる時期を10年間延長できるという制度が盛り込まれました。
要するに、指定から30年が経過した生産緑地は10年ごとに指定の更新されることになります。これにより、30年経過後の買取りの申出を減少させることで農地保護機能を強化することを意図しています。
一方、生産緑地の所有者にとっては、買取りの申出までの期間が延長されることから、固定資産税の減額の効果も延長されるメリットがあります。
ですが特定生産緑地指定に関して、事前に意見を述べる機会は用意されているものの、特定生産緑地指定の決定権者は各地方自治体にあり、場合によっては不本意な延長を余儀なくされるおそれがあります。
生産緑地を所有する地主様はお持ちの生産緑地をどう扱っていくかという点に関し、30年経過が近づく前に、当該農地について今後どのように扱うべきか検討していく必要があります。

土地活用に関わる法律関係

トップに