土地活用をする上で知っておきたい「生産緑地」とは?
市街化区域とは?
大都市圏の都市計画区域は、都市計画法という法律によって「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けられています。
今回説明する「生産緑地」の関連があるのは市街化区域です。市街化区域とは「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」(都市計画法第7条第2項)として、農地や緑地を維持・保全するより、開発して宅地や商業施設にすることを目指す地域とされた地域となります。
市街化区域の農地に起こった変化
政府は、市街化区域内にある農地も非農地化を推奨し、市街化区域の農地に対して、宅地並みの固定資産税と都市計画税を課税する方針を取りました。
時代背景として、高度経済成長期・ベビーブームというもあり、大都市圏の深刻な住宅不足を解消するための政策として、都市部の農地が積極的に非農地化することを推進していました。
その結果、農地が宅地並み課税になると、固定資産税はこれまでの100倍以上も増額となったため、農地を非農地化して宅地に供給する農家が増加しました。
「生産緑地法」が制定された背景
その一方で、地盤保持・保水などの働きによる都市災害の防止機能の維持、農地や緑地が持つ環境保全の観点から都市部の農地・緑地を守る必要性も議論された結果、1974年に「生産緑地法」が制定され、固定資産税等の税負担が一般農地並みの課税に抑える政策がとられました。
さらに、1992年に生産緑地法の改正が行われ、市街化区域内の農地は、農地として保全する「生産緑地」と宅地などに転用される「宅地化農地」に明確に分けられることになりました。
「生産緑地法」の改正による優遇措置
1992年の生産緑地法の改正により、大都市圏の農地も、自治体による「生産緑地の指定」を受けるための特定の条件を満たしている場合は、固定資産税が一般農地並みの課税に抑えられ、終身営農することを条件に相続税の納税猶予を受けルことが可能になるといった税制優遇措置が取られました。
また、
- 農業以外の用途に土地を使えない
- 建築物を建てられない
などの行為が制限され、税制優遇と引き換えに農地としての管理が必要になります。
わかりやすく解説すると「生産緑地」とは、「条件を満たした上で生産緑地の指定を受けることができた場合、今後30年間営農を続けている期間は農地課税でよい」という仕組みとなります。
生産緑地の主な内容
- 面積が500㎡以上であること
- 農林漁業を営むために必要な場合に限り、建築物の新築、改築、増築等が認められる
- 生産緑地としての告示日から30年が経過した場合は、自治体に対して「買取り」の申し出ができる
- 主となる従事者が死亡などで従事できなくなった場合、自治体に対して「買取り」の申し出ができる
- 自治体が買取らない場合は自治体によって他の農家などにあっせんすることが可能
- 買取りを申し出た日から3ケ月以内に所有権移転されなかった場合、生産緑地の制限が解除される
土地活用に関わる法律関係