【土地活用にまつわる税金について】減価償却費の計算方法
前回の記事では、土地活用のための建物や建物附属設備は、国税庁が定めた耐用年数の期間の間、税務上は減価償却費として必要経費に計上すると解説しました。
今回は具体的な減価償却費の計算方法について解説していきます。
減価償却費の計算方法には、「定額法」と「定率法」の2つがあります。
ですが、建物に関しては現在では定額法しか選択することができません。
また、建物附属設備など建物以外の固定資産で定率法を選択したい場合、税務署への届け出が必要となります。
定額法
減価償却費の1つ目の計算方法は、定額法です。
定額法とはその名の通り、建物や建物附属設備の耐用期間中、毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法のことです。
毎年計上できる減価償却費は、次の計算で算出します。
建物などを取得した金額 × 国税庁が決めた減価償却率
なお、国税庁が定めた減価償却率は、以下から確認できます。
例を紹介します。
木造アパートを5,000万円で建設したとします。
木造アパートの耐用年数は22年で、償却率表によると耐用年数22年の固定資産の償却率は0.046と決められているので、
次の計算式のとおり毎年230万円を減価償却として経費計上できることになります。
5,000万円×0.046=230万円
ただし、減価償却費は、固定資産を取得した金額よりも多く計上することできません。
上記のとおり5,000万円で建設したアパートなら、建築してから21年目までは230万円を経費計上できます。
しかし、耐用年数の最後となる22年目は、170万円しか減価償却費を計上できません。
これは、耐用年数の期間を通して、建物の建設費用である5,000万円しか減価償却できないからです。
もしも耐用年数の最後となる22年目も230万円を経費計上できたとすると、この建物は通算で5,060万円を減価償却できることになってしまうためです。
定率法
減価償却費の2つ目の計算方法は、定率法です。
定率法とは、建物や建物附属設備の耐用期間中、毎年同じ割合の金額を減価償却費として計上する方法のことです。
毎年同じ割合で減価償却するため、建物が新しいうちは定額法よりも減価償却費が大きくなり、建物が古くなるにつれて減価償却費は少なくなっていく仕組みです。
具体的には次の計算式で算出できます。
未償却残高 × 国税庁が決めた減価償却費
未償却残高とは、年末の時点でまだ償却していない金額を指します。
例を紹介します。
耐用年数15年の金属製の日よけ(取得金額100万円)を定率法で減価償却する場合、
償却率は0.167なので建築した初年度は次の計算式で減価償却費を求めることができます。
100万円×0.167=16万7,000円
そして、次の年の減価償却費は、100万円から前年の減価償却費16万7,000円を差し引いた83万3,000円に償却率をかけて求めます。
そのため、次の年の減価償却費は、次の計算式のとおり13万9,111円となります。
83万3,000円×0.167=13万9,111円
定率法による減価償却費は、新築から年々下がっていくのが特徴となるため、
節税のために土地活用を始めた当初にできるだけ減価償却費という必要経費の金額を大きくしておきたい場合はオススメの方法です。
なお、定率法を使いたいときは、税務署に届け出を行わなければならないため注意しておきましょう。
土地活用に関わる金融・税金関係