トランクルームの経営に関する基礎知識を徹底解説!経営方式や特徴からはじめるまでの流れまで
昨今では、さまざまな場所にある空いた土地にトランクルームが設置されているのをよく見かけます。
「自分の土地でもトランクルームの経営をはじめることができるの?」
「トランクルームを経営するのは難しいの?」
こうした疑問を持っている、土地のオーナー様も多いでしょう。
結論からいうと、トランクルーム経営をはじめることは、比較的難易度が低い傾向にあります。自分で直接経営する他、プロに委託することもできるからです。
この記事では、経営方式の違いやトランクルーム経営の特徴、はじめるまでの流れについて紹介していきます。少しでも興味を持っている方は、ぜひ最後まで読んで有効な土地活用にお役立てください。
4種類あるトランクルームの経営方式
トランクルームの経営をする際には、経営方式を決めるところからスタートします。経営方式によって運営の仕方が大きく異なるからです。
この項目では、トランクルームの4つの経営方式について特徴を紹介します。では、早速見ていきましょう。
一括借り上げ方式
土地やコンテナなどの設備を専門の業者に貸すことで、固定賃料が支払われる仕組みです。リースバック方式ともいわれています。初期費用は、土地の所有者の負担になります
一括借り上げ方式では、トランクルームの利用者の有無に関わらず、毎月一定の料金が支払われます。ただし、業者から手数料が差し引かれるため、やや収入が少なくなってしまうことを理解しておきましょう。安定した収入を希望している人におすすめの経営方式です。
業務(管理)委託方式
いわゆるフランチャイズ方式です。管理のみを業者に委託して、経営は個人で行います。一括借り上げ方式と比較すると手数料は割安です。
管理とは集客や清掃、集金といった業務のことです。経験が浅くても、スムーズに運営できるように市場調査や集客などを行ってくれる点もメリットといえます。
ただし、利用者が集まらない場合でも契約した業者に一定額のロイヤリティを支払う必要があることに注意しましょう。
事業用定期借地方式
期間を決めて業者に土地を貸す契約を結ぶことで、地代を得る経営方式です。トランクルームの経営は業者が行うことになるので、初期費用等は必要ありません。
トランクルームの利用料は業者が受け取ることになりますが、労力をかけず確実に収入が得られます。
自営方式
自らコンテナを調達して、管理全般を行う経営方式です。初めて経営をする人には、リスクが大きいといえるでしょう。
ただし、しっかり集客してトラブルが起こらなければ、リターンも大きいのが自営の利点です。不動産などの専門知識があって、経営に自信がある人におすすめします。
トランクルーム経営のメリット
トランクルームの市場は、右肩上がりに拡大しています。理由の1つとして、テレワークが増えて住環境に変化が生まれたことが考えられます。さらに、外出自粛で時間的な余裕ができたことによって、新たな趣味をはじめる人が増えたことも一因といえるでしょう。
こうした市場規模の拡大に加え、トランクルームを経営することにはさまざまなメリットがあります。この項目では4つのメリットについて紹介していきます。早速確認しましょう。
初期費用があまりかからない
経営方式にもよりますが、最も初期費用がかかる自営の場合でもコンテナ等の設備、広告費、人件費などを含めて100~300万円から開業が可能です。事業用定期借地方式で土地を貸し出せば初期費用は全くかかりません。
初期費用を抑えて毎月の収入がコンスタントに回収できるのが、トランクルーム経営のメリットの1つです。
管理がしやすい
トランクルームは頻繁に利用されるものではないので、清掃や修理などもほとんど必要ありません。コンテナは若干の補修はあっても、大規模な改修は約30年必要ありません。
また、不動産を管理するときのように専門知識の習得やライフラインの手配、ゴミの管理などを行う必要もないのです。ですから、管理がラクにできます。手数料がかかりますが、業者に委託することで管理の手間をゼロにすることも可能です。
土地のかたちや立地を選ばない
変形地や狭小地であっても経営できることも、トランクルーム経営のメリットです。設置するトランクの置き方を工夫したり、数を少なくしたりすれば経営は可能だからです。駐車場やアパートなどを経営する場合には、整った四角い土地が必要になります。
立地についても、それほど恵まれていなくても問題ありません。通常は、トランクルームに何度も訪れることがないからです。
ただし、車でのアクセスがしやすい場所が向いています。トランクルームに預けるものは比較的大きいものが多いので、車で訪れる人が多いからです。可能であれば駐車スペースを確保できると需要が増えるでしょう。
転用しやすい
トランクルームを廃業して別のビジネスをはじめるときも、大規模な工事が必要になることはないでしょう。コンテナを撤去するだけで元の状態の土地に戻るからです。
万が一、思い通りにいかずに撤退することになったとしても、リスクが少ないこともメリットといえるでしょう。
トランクルーム経営で陥りやすい失敗
需要が伸びており、メリットも多数あるトランクルーム経営ですが、知っておきたい失敗しがちなポイントもあります。
この項目では、トランクルーム経営の中での失敗事例を4つ挙げて解説していきます。どれもよくある失敗例なので、反面教師として頭に入れておきましょう。
税の優遇があまり得られなかった
所有している土地にかかる税金を少しでも減らしたくてはじめたけれど、減ることはなかったと後悔することがあります。
トランクルームの経営で節税効果は期待できません。固定資産税等の優遇措置が適用されず、更地とおなじ納税負担が必要になるからです。土地と合わせて、コンテナも固定資産税が課税されます。
相続税の節税にもつながりません。トランクルームは貸主が解約を申し出ることができるため、相続税評価額が下がらないからです。ですから、節税対策を期待してトランクルームの経営をはじめるのは得策とはいえないでしょう。
建築確認が通らない場合がある
準備が終わって工事に入ろうと申請をしたら許可が下りなかったということもあります。トランクルームで使用するコンテナは、建築確認申請を行って確認済証の交付を受ける必要があるからです。
例えば、適切な基礎が設けられていない、適切に接合されて積み重ねていないといった状態は建築法違反の対象です。
準備を進めてきても、国土交通省による建築確認が通らなければ経営をはじめることはできないので、事前に調べて対処しておきましょう。
借り手が見つからない
苦労してトランクルーム経営をはじめたのに、利用者が集まってこないという失敗もあります。自営業では、利用者の集客も仕事の1つになります。集客をして利用者を集めなければ、収入が見込めないからです。
不慣れな人が集客を行うのは難しいものです。チラシやネット広告、看板などから効果的な集客の方法を選ぶのにも戸惑ってしまうでしょう。
業者に委託する経営方法であれば、借り手探しで苦労することはありません。集客に自信がない人は、委託することをおすすめします。
破損や盗難被害に巻き込まれる
利用者がトランクに保管した物が破損または盗難の被害に遭ってしまった場合の責任は、貸主が負うことになります。ですから、セキュリティ対策をしっかりしておくことが必要です。
災害によるリスクもあります。やむを得ないことでもあるので、貸出契約を交わす際の覚書に、リスクについて説明しておくようにするといいでしょう。
トランクルームをはじめるまでの流れ
トランクルームをスタートする際には、次のようなステップを経ることになります。大まかな流れを理解しておいてください。
STEP1:経営方式を決める
まず、自営で運営を行うのか業者に委託するのか、経営の仕方を決めることからはじめます。時間的なことや経済状況などをもとに、最適な経営方法を選びましょう。
業者に委託する場合は、どの業者に依頼をするか検討してください。業者選びでトランクルーム経営の成否が決まります。相見積もりを取るなどして、信頼できる業者を慎重に選んでください。
STEP2:土地の周辺をリサーチする
次に、トランクルームを設置する場所の周りをリサーチします。自営の場合は自分で細かく調べてみましょう。周囲に同業はどれくらいあるのか、相場はいくらくらいか、世帯数はどれくらいかといったことを、可能な範囲で詳しく調べてみてください。
業者に委託する場合は、専門的なリサーチも合わせて行ってもらえるでしょう。
STEP3:プランを決めて工事を行う
リサーチをもとにして事業計画を立てたら、設置工事を進めます。事業計画はざっくりしたものではなく、綿密に計画を立てるようにしましょう。
設置工事は規模によっても違いますが、建築確認申請の期間も含めてだいたい2~3ヶ月で完了します。
STEP4:集客をする
早めに集客をスタートさせて、工事が完了したらすぐ利用できるようにしておくのがベストです。集客方法はインターネットを活用しましょう。
トランクルームのポータルサイトに掲載するのが有効です。また、SEO対策をしっかり行った自社のウェブサイトを作成するのもいいでしょう。
昨今では、トランクルームの利用者の大多数がウェブで検索します。ウェブで充分にアピールすることができれば、集に困ることはないでしょう。
まとめ
トランクルーム経営は、テレワークの増加などによって右肩上がりに需要が増えている注目の土地活用の方法です。
経営方式は、一括借り上げ方式、業務(管理)委託方式、事業用定期借地方式、自営方式から選んで運営を行います。
メリットが多い一方で、税金面や法律面で陥りやすい失敗もあるので、事前に把握しておくと役立ちます。
トランクルーム経営の基礎知識をしっかり理解して、有効な土地活用をはじめてみましょう。
狭小地での土地有効活用