「住宅確保要配慮者専用賃貸改修事業」を適用するための条件や基準とは?—土地活用の補助金
前回は「住宅確保要配慮者専用賃貸改修事業」の補助金制度について詳しく解説していきました。
この制度は、空き家やアパートを生活困窮者向けに改修したオーナーに対して、政府が補助金を支給するというものです。
既に公式事業として展開されており「1戸あたり最大100万円」の補助金が支給されます。
使い道のない空家を所有しているオーナー様や空室に悩む賃貸物件をお持ちのオーナー様にとって、活用すべき制度といえます。
今回は「住宅確保要配慮者専用賃貸改修事業」の補助金制度を活用する上での条件や基準について詳しく解説していきます。
適用するための条件は?
要配慮者専用改修事業による補助金を受けるためには、以下の2つの条件が定められています。
- 対象物件を要配慮者向け賃貸住宅制度への登録物件とすること
- 実施する工事内容が改正セーフティネット法の求める基準を満たすこと
上記の条件を見ただけではわかりにくいと思うので、それぞれの具体例を確認していきます。
登録に必要な基準は?
「要配慮者向け賃貸住宅の登録制度」とは、地方自治体などに対象物件が要配慮者の入居を拒まない住宅であることを登録する制度を指します。
改正した住宅セーフティネット法に伴うほぼすべての補助制度の前提となっている条件であり、登録には主に以下の条件が定められています。
要配慮者向け賃貸住宅の登録制度の主な登録基準
- 1.一定の広さの居住面積が確保されていること
- 2.一定の耐震性能を有していること
- 3.消防法や建築基準法に違反しないものであること
- 4.要配慮者の入居を不当に制限しないものであること
- 5.近隣の物件と比べて家賃が高すぎないこと
対象工事の基準は?
対象工事の基準は具体的に定められています。
検討する前に確認しておくことが必要となります。
配慮者専用改修事業の対応工事一覧
- 1.耐震改修工事(昭和56年5月31日以前に着工した物件)
- 2.間取り変更工事
- 3.シェアハウスへの改修工事(用途変更に伴う消防法、基準法への適合)
- 4.バリアフリー改修(手すり、階段、浴室等の設備改修)
- 5.居住のために必要な工事(インスペクションにより必要と認められるもの)
- 6.居住支援協議会が必要と認める工事(防火防音、ヒートショック対策など多岐)
- 7.上記に係る調査設計計画の作成によるもの
※居住のために必要な工事を実行する場合、対象物件が「過去3か月以内に賃貸・居住の用に供されていないもの」に限られます。
要配慮者専用改修事業のデメリット
要配慮者専用改修事業は空家の改修工事を考えているオーナー様の大きな助けとなる制度ですが、この制度はメリットばかりではありません。
デメリットもしっかり確認した上での検討が必要となります。
10年以上の「要配慮者専用住宅」が条件
要配慮者専用改修事業による補助金を適用するためには、対象物件を「10年以上は要配慮者専用住宅として扱うこと」が必要になります。
つまり、10年以上は対象の低額所得者以外の入居者や通常の収入を有する単身赴任者などの一般的な賃貸物件の需要層の入居者を受け入れることができません。
要配慮者の属性を選択できる
住宅セーフティネット法が求める「要配慮者」には以下の複数の属性が存在します。
- 低額所得者
- 子育て世帯
- 高齢者
- 障がい者
- 外国人
改修制度を適用する場合、オーナーはこれらの属性から入居対象者を自由に選択することが可能です。
そのことからオーナーの考えるコンセプトに従って、様々なチャレンジが可能となっています。
[コンセプトの例]
- 低額所得者から外国人世帯まで幅広く受け入れるセーフティ住宅
- 子育て世帯に限定した、あんしん家族向けの世帯住宅
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