土地活用で屋外看板を建築して運営するための基礎知識
看板にはさまざまな種類がありますが、土地活用をするなら屋外看板がメインになるでしょう。屋外看板を所有している土地に設置して利益を得るためには、知っておきたい基礎知識があります。
知らずに運営を開始してしまうと、設置した後で問題が発覚して大変な思いをすることがあるからです。
この記事では、屋外看板の種類や法律に関する基礎知識から、申請の流れ、屋外看板のトレンドについてまで詳しく解説します。
看板設置を検討しているなら、ぜひ最後まで読んで効果的な土地活用にお役立てください。
建植看板の種類
所有している土地に看板を立てるなら、建植看板を選択することが多いでしょう。建植看板とは、地面に基礎を作って自立させる看板のことをいいます。サイズはさまざまです。
用途は、店舗の入り口表示やドライバーへの誘導、注意喚起、広告など複数あります。建植看板には野立て看板も含まれます。
建植看板の構造は大きく3つに分けられます。
・串刺し式看板
・盤上式看板
・二柱式看板
最もポピュラーなのは串刺し式看板です。基礎ポールに先端ポールが付いた看板を差し込んで設置するため、強度があり設置時も安全なのが特徴です。
盤上看板は基礎ポールと板が一体になっていて、これに看板をはめ込んで設置します。ですから、看板に強度がないと破損の原因になります。
そして、二柱式看板は大型の看板に使われている看板です。柱が1本ではなく2本で支えて設置するので、強度はありますがコストがかかる点を考慮する必要があります。
知っておきたい!建築基準法など屋外看板に関する法律やルール
所有している土地の中であれば、どんな看板を設置してもいいわけではありません。屋外看板設置の際には、守らなければならないルールがあります。
主なものは、以下の法律や条例です。
・建築基準法
・道路交通法
・道路法
・屋外広告物法
・各自治体による屋外広告物条例
1つずつ解説をしますので、理解を深めてください。
建築基準法
建物を建築及び利用する際、最低限守るべきルールを定めた法律が建築基準法です。
看板については、4メートル以上のものが対象になります。高さが4メートル以上の看板は、安全を確保する必要があるため「工作物確認申請」及び「構造計算書の作成」の義務があります。
工作物とは、一定の条件に当てはまる建築物以外の構造物の総称です。工作物確認申請は、工作物を建築する際に自治体の都市計画課に提出する申請になります。
構造計算書とは、建築構造物の構造計算の概要や計算結果などをまとめた書類のことをいいます。
道路交通法
主にドライバーや歩行者が道路で守るべきルールが、道路交通法になります。
道路への看板設置については、安全性を確保することや設置前に許可申請をすることを定めています。例えば、看板が車道や歩道にはみ出す場合は、「道路上空占有届」の申請が必要です。柱は敷地内でも、看板の本体がはみ出している場合は対象になります。
このように、看板を設置する際は道路交通法に違反していないかについても細かく確認しておきましょう。
道路法
道路整備に関する基本法が道路法です。看板設置で該当するのは、継続的に看板を設置する場合になります。
この場合、道路管理者への占有許可申請が必要です。管理者は以下のように分かれているので、設置する地域の管理者はどこなのか調べてみましょう。
・主要な国道…国道事務所
・府道や県道…土木事務所
・市町村道…各地方自治体の道路管理課
屋外広告物法
屋外で公衆に表示されている広告物について、良質な景観の維持や危害の防止を目的に定められた法律が、屋外広告物法です。
この法律では、地域や地区ごとに掲示可能な看板の面積が決まっています。この基準を超える看板を設置する場合は、「屋外広告物の許可申請」を提出する必要があります。
設置する地域で定められた面積はどれくらいなのか、リサーチして把握しておくようにしましょう。
各自治体による屋外広告物条例
自治体独自で、屋外広告物を規制する条例を定めている場合があります。「まちづくり計画」を作成している自治体であれば、内容を確認しておく必要があるでしょう。
他にも、看板に関連するルールとして以下のような法律があります。1つずつ簡単に紹介しますので、覚えておきましょう。
景観法・景観条例
景観法は、それ自体が都市景観を規制しているのではなく、各景観行政団体によって計画や条例が作られる際に基準となる法律です。
看板については、例えば京都の事例が特徴的です。古都の美しい景観を守るため、彩度の高い色は規制対象という厳しい規制を設けています。そのため、大手ハンバーガーショップや牛丼チェーンの看板も鮮やかな赤ではなく茶色で作られています。
都市計画法
都市においての計画的な整備に関する法律のことです。
自然公園法
自然の風景を守って利用を促進することで、国民の急速や生物の多様性の確保を目的に定められた法律です。
文化財保護法
文化財の保存や活用、国民の文化的向上を目的とした法律です。
各文化財がある自治体によって細かい景観形成基準が設けられているので、所有する土地の近くに文化財がある場合は確認しましょう。基本的には必要最低限の看板の数にして、原色や蛍光色を避けるといった事項が定められています。
消防法
火災を予防または被害の軽減を目的とした法律です。
交通バリアフリー新法
高齢者や身体障害者等が、公共交通機関を利用した移動を円滑にできるように定めた法律です。2000年に制定されました。案内看板等を設ける際、通行の妨げにならないように設置することなどの事項が記載されています。
PL法
製造物責任法のことで、製造物の血管によって損害が発生した場合の責任について定めています。看板設置においては、安全性への配慮が足りなかったために事故が起こった場合やなどが該当します。
屋外看板の建築確認申請の流れ
屋外看板を設置する際には、「建築確認申請」が必要になります。「建築確認申請」とは、建物の建築や修繕をする際に必要な手続きのことです。
申請の流れとしては、まず「屋外広告の許可申請」を行うことからスタートします。
「屋外広告の許可申請」は、屋外に掲出する広告物等を表示及び設置、変更等を行う場合に必要な申請です。各自治体に申請します。
2週間程度の審査の後、屋外広告許可書が交付され、その後「工作物確認申請」を行います。看板は建築物ではなく工作物にあたるので、建築確認申請ではなく工作物確認申請を提出します。
屋外広告の許可申請と同様の流れで工作物確認済証が交付されれば、屋外広告の設置が可能になります。
時代に合った屋外看板の建築方法とは
昨今では、屋外看板を設置する際に景観を配慮することが重視されるようになってきました。街づくりの観点からは、設置場所や色彩、デザインの工夫が必要です。これにより美しい街並みを形成し、観光を促進する効果が期待できます。
また、光量や時間帯などへの配慮も必要です。看板の役割としてわかりやすく目立たせることも大切ですが、必要以上に強い光の使用は抑制するよう検討しましょう。
このように、看板の乱立により景観が乱れることを懸念する考え方が根付いてきています。看板を設置する際には、設置する土地になじむように工夫することも大切です。
ここまでで紹介してきたように、看板の設置においてはさまざまな法律やルールを把握した上で設置を進める必要があり、初めて携わる際は不安を覚える人も多いでしょう。
当社では、これまでさまざまな看板設置のお手伝いをしてきました。ですから、所有している土地に看板を設置する際には適切なアドバイスをすることが可能です。看板設置を検討する際は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
狭小地での土地有効活用